抱きしめると、頭からふんわりいい香りがしていた可愛い息子。あれから時が経ち、気がつけば息子から「男臭」がするようになっていませんか。成長の証とは分かっていても、臭いものは臭い! 今回は、そんな男子の臭いの原因と対策について考えてみたいと思います。
なぜ思春期の男子は臭いの? 原因は?
「息子が中学になってから、急激に臭いと思うようになった!」 「使用後の体操服は、卒倒しそうになる!」 「各部屋に消臭スプレー常備が欠かせない!」 息子の成長と共に、その鼻をつく臭いに悲鳴をあげるお母さんが続出しています。愛する息子が臭いというのは辛いもの。まずは、その原因を考えてみましょう。 臭いのもとは、「汗・皮脂・垢+雑菌」です。皮脂や汗は分泌されたばかりの段階ではほぼ無臭ですが、時間が経って皮膚常在菌によって酸化・分解されて不快な臭いとなります。 では幼少期は汗びっしょりでも全く臭くなかったのに、なぜ急激に臭うようになったのでしょうか。原因は、エクリン腺とアポクリン腺という2種類の汗腺の違いにあります。エクリン腺は全身にあり、そこから出る汗は99%水です。そして、これは体温調節の役目を果たしています。一方、アポクリン腺は腋(わき)の下や陰部周辺などの限られた場所にあり、そこから出る汗は水の他にタンパク質や脂質など臭いの元になりやすい成分を多く含んでいます。 これはアポクリン腺があえて臭いの原因物質を作り、異性をひきつけるフェロモンのような役割を果たしていた頃の名残だと考えられています。そのアポクリン腺は思春期の頃から発達してくるため、その時期から子どもの汗は臭くなるのです。逆に幼い子どもが汗びっしょりでも臭くないのは、アポクリン腺が未熟だったためと言えます。 また女子よりも男子が臭いが強いのはなぜでしょうか。これは男子の方が、筋肉量が多いため代謝が良く、発汗量も多いからです。さらに皮脂の分泌量も女子は2倍。そのため女子よりも男子の方が臭いことが多いのです。 では次に、その臭い対策について考えてみたいと思います。
「息子が臭い!」と思った時にすぐできる6つの対処法
息子の臭いに気がついた時、どのようにアドバイスすれば良いのでしょうか。すぐに実行できる主な方法を6つ紹介します。
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汗をかいたら、すぐ拭く習慣をつける。
汗が臭ってくるのは、汗をかいてから1〜2時間後。汗は、かいた後なるべく早く拭き取るのが正解です。さらに汗を一時的に減らす制汗剤か、雑菌の繁殖を防ぐデオドラントを使えば、その後の匂いを大幅に抑えることができます。また「汗をかく=運動」をイメージしますが、人は就寝中も大量の汗をかいています。就寝前・起床後に、汗ケアをすることも、体臭を抑えるのに有効な方法です。
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お風呂上がりに制汗剤を使う。
汗をかく夏場は特に毎日入浴して、臭いの元となる皮脂や垢を落とすようにしましょう。殺菌効果や消臭効果の高い石鹸・ボディー洗浄料・シャンプーを使うことも大切ですが、お風呂上がりのケアも忘れてはいけません。お風呂上がりに制汗剤を使えば、お風呂後にかいた汗でまた臭うという悪循環を防ぐことができます。
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頭皮を乾かしてから寝る。
頭皮は皮脂が多く出る場所です。洗髪後にキチンと乾かさないと、雑菌が繁殖してしまいますので、洗髪後は完全に乾かしてから寝る習慣をつけましょう。また水分は菌の温床になりがちですので、寝具の乾燥も大切なポイント。布団の天日干しや部屋の換気などを、日常的に行うことが大切です。
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効果抜群! 消臭靴下を使用する。
足の裏はエクリン腺が多い場所。エクリン腺は本来臭いの元となりにくい汗ですが、足の裏は菌が多くて蒸れやすいため、結果的には悪臭の元になってしまいます。そんな時、汗の吸収のスピードを早め、匂いの原因となる菌の発生を抑える機能がある消臭靴下は強い味方! 消臭機能だけでなく、耐久性、伸縮性、履き心地も兼ね備えたものもありますので、用途に合わせて買い揃えましょう。また靴下は良いものを使っても、毎日履く靴が臭いままでは意味がありません。定期的に洗い、コーヒーかすなどを入れて消臭するなどの工夫を取り入れましょう。
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食生活を見直す。
動物性タンパク質の消化にはエネルギーをたくさん使い、その分体温が上がって、汗をかきやすくなります。汗臭さに悩むのであれば、肉類などの動物性タンパク質や、チーズ・牛乳などの動物性脂肪を取り過ぎないようにしましょう。逆に緑黄色野菜などの抗酸化食品、梅干しや海藻などのアルカリ性食品、ごぼうや大豆などの腸内環境を整える食品は、体臭対策にオススメです。
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運動・睡眠不足を避け、ストレスを溜めない生活を心がける。
ストレスから生まれる冷や汗は、運動の汗より強く臭う傾向があります。ストレスは、可能な限り避けるようにしましょう。適度な運動はストレス解消にもなる上、老廃物の排出にもつながるので、体臭の軽減になります。さらに睡眠不足は、臭いの元を分解する肝臓や、皮脂分泌をコントロールする自律神経の機能低下を引き起こします。しっかり寝ることも、実は体臭の対策のひとつなのです。
見逃さないで、病気のサインとなる「臭い」
制汗剤やデオドラントなどの対策を取っているにも関わらず、まだ臭いが気になる場合、ひょっとすると臭いが病気のサインという可能性もあります。日本人の10人に1人が発症すると言われる臭いの病気「ワキガ」などがそれに当たります。 ワキガは医療用語で「腋臭症(えきしゅうしょう)」「アポクリン臭汗症」と言い、「硫黄臭」「濡れ雑巾のような臭い」などと表現される腋から出る独特な臭いが特徴です。ワキガの主な原因は親からの遺伝やホルモンバランスの乱れだと言われおり、またアポクリン腺が多い人が発症する傾向があります。 まず自分がワキガかどうか、セルフチェックをしてみましょう。 ☑ 耳垢が常に湿っている。 ☑ 腋から出る汗の量が多い。 ☑ 下着やシャツなど、腋の部分の色がつく。 ☑ 肉や揚げ物などの高カロリー・高脂肪な食品を好む。 ☑ 周囲の人から腋の臭いを指摘されたことがある。 いくつか当てはまる場合は、ワキガの可能性があります。その場合は、先ほど述べたような普通の汗対策に加えて、腋を清潔に保つために腋毛を処理しましょう。その際、脱毛をするとアポクリン腺を刺激して、ワキガが悪化する可能性があるため、カミソリでの処理がベターです。 ワキガは、放置していても体調を害したり悪化したりするものではありませんので、その点は気に病み過ぎることはありません。ただどうしても気になる、一般的対処法でも効果がない場合は、皮膚科や形成外科に相談して、アポクリン腺や皮脂腺を除去するという方法もあります。 またワキガの他にも、きつい体臭は脂漏性皮膚炎、糖尿病、肝臓・腎臓の病気が関係していることもありえます。体からこれまでと違う臭いがする、どの汗対策も全く効かないと感じた時は、医者に相談することも検討しましょう。
臭い対策には、まず生活習慣を改善しましょう
体臭は誰にでもあるものなので、必要以上に気にすることはありません。ただ何をしても体臭の強さに改善が見られない場合のみ、医療機関に相談しましょう。 臭い対策は、まず生活習慣を見直すことから始まります。汗をかいたらすぐ拭く、お風呂上がりケアを怠らない、濡れた髪の毛は乾かしてから寝る、バランスの良い食事を心がける、早寝早起きや適度な運動を日常に取り入れるといった日々の小さな積み重ねが、臭い対策の近道になるのです。 体臭はデリケートな問題でもあり、家族以外はなかなか指摘しにくいものです。愛する息子のため、家族の心地よい暮らしのため、陰の地道なサポートを心がけて下さい。