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昔と今はこんなに違う!? 学校での学習やルール

こどもの教科書の内容を見て、「時代は変わった」と感じたことはありませんか? 時代とともに常識は変化しますが、その変化はこどもが学校で教わる内容や学校のルールにも現れるのです。

 

今回は、教育現場の今を見つめながら、昔と今で変わった学校での学習やルールについて考えてみたいと思います。


学習指導要領は、なぜ改定されるの?


 

学習指導要領とは、文部科学省が定める教育課程の基準のことです。全国どの学校でも、この学習指導要領にもとづいてカリキュラムが編成されており、これがあるおかげで、日本全国どの地域に住んでも一定水準の教育が受けられるのです。さらに学習指導要領は約10年ごとに改定するのが慣習となっています。

 

例えば、1989年に小学校低学年の理社が統合して「生活科」に、1992年に「学級会活動」と「学級指導」を合わせて「学活(学級活動)」と呼ぶようになったのも、学習指導要領改訂の影響です。ではなぜ、このようなことが必要なのでしょうか。

 

それは、こどもを取り巻く社会状況に対応するためです。「今後10〜20年程度で、半数近くの仕事が自動化する可能性が高い」とも言われている今日、学習指導要領の改定は、変化の多い社会にこどもたちが対応して生きていくために必要なことなのです。

 


学校の昔と今 〜学習編〜


学習指導要領改訂の影響で、比較的最近変化したものを一部ご紹介します。

 

  • 外国語教育がスタート

2022年より小学校3・4年生から「外国語活動」が、5・6年生から教科としての「外国語」が全面実施されることになりました。英語はもちろん、海外の文化についても学びます。学校や自治体にもよりますが、一般的に授業数は3・4年生で週1コマ、5・6年生で週2コマ、中学生になると週4コマとなります。

 

 

  • プログラミング教育の導入

小学校のプログラミング教育が必修化されました。これはパソコンを使うスキルを身につける以外に「順序立てて考えて、試行錯誤し、物事を解決する力」の習得を目指しています。遅くとも4年生から、算数や理科など、普段の授業でプログラミングを体験できますが、小・中学校で教科の新設はされません。

 

 

  • 「教科」としての道徳

全国で相次ぐいじめの防止を目的として、2018年より「特別の教科 道徳」が全国の小学校で教えられるようになりました。以前は道徳の本を読んで感想文を書くなどの授業でしたが、「あなたならどうするか」など多面的・多角的に議論する内容へ転換しました。教科ですが点数はつけられず、成績表に担任からのコメントが記載されます。

 

 

  • 家庭科の多様化

昔の家庭科というと、裁縫や調理実習などが多かったのですが、最近は問題解決につながるような内容が増えました。例えば、洗濯や掃除の効率的な方法のほか、プリペイド型電子マネー、クレジットカード、オンラインショッピングなどの消費者教育も含まれます。成人年齢が18歳に引き下げられ、親の同意なしでさまざまな契約ができるようになったこともあり、これらの教育の重要性が上がっていることも背景にあります。

 

 

  • ICT(情報通信技術)整備が進む

生徒に資料を効果的に見せたい時は、以前はOHPや紙芝居などを使っていましたが、今では電子黒板を利用する学校が増えています。さらにコロナの影響もあり、タブレットを全校生徒に配る学校も、ここ数年で急増しました。結果的に、プリント配布・回収する時間の節約になったり、コンピューターの基本動作・ネットリテラシーなどを学んだりするきっかけとなりました。

  • 伝統や文化に触れる教育が必修化

国際的に活躍するこどもの将来のため、日本の伝統・文化に関する教育が増えました。小学生の音楽で琴や和太鼓などの和楽器が、中学生の体育で武道が必修化されました。武道に関しては、柔道、剣道、相撲、空手、弓道、少林寺拳法などが選択肢に挙げられていますが、柔道と剣道を採用している学校がほとんどです。

 

  • 都道府県の漢字が4年生の範囲に

2020年より都道府県で使用される漢字が小学校4年生の学習範囲となりました。「新潟」「愛媛」「岐阜」「沖縄」などの難しい漢字も、書き取りテストに出る頻度は少ないものの、読めることが求められます。

 

  • SDGs(持続可能な開発目標)がキーワードに

2015年の国連サミットで採択された目標「SDGs」。2016〜2030年の15年間でこれらを達成するために、国語や家庭科など、あらゆる場面で、このキーワードが取り上げられるようになりました。例えば「環境に良い買い物とは何か?」というテーマをクラスで話し合うなど、積極的に環境問題を考える機会が広がっています。

 

 


学校の昔と今 〜生活編〜


 

次に学習指導要領改訂や社会現象により変化した学校でのルールの一部ご紹介しましょう。

 

  • 名前の呼び方の変化

ジェンダーレス化の流れで、先生たちは「君」や「さん」ではなく、全員「さん」づけをするようになりました。中にはニックネーム禁止という学校もあり、こどもたちがフルネームで呼び合う光景も。また以前は男女別の名簿でしたが、最近は混合名簿となっています。

 

  • 熱中症対策

かつては「熱射病」「日射病」という言い方もしていましたが、2000年より「熱中症」という表現で統一されるようになりました。こどもの学校への水筒持参、教室へのエアコン導入が一般的になり、さらに授業中でも水分補給を許可する先生が増えました。

 

  • 防犯意識の高まり

登下校中に出会う不審者対策として、名札は校内のみ着用で、登下校では外すよう指導されるようになりました。また入学式で防犯ブザー配布する学校もあります。さらに広報誌などに、こどもの顔がはっきり映った写真が載ることもなくなりました。

 

  • 副教材にキャラクターが導入

ムーミンやリラックマなど、こどもに人気のキャラクターが、ドリルなどの副教材に採用されるようになりました。「ムーミンのドリル出して!」など、低学年でも先生の指示が理解しやすいと好評です。

 

  • 連絡網と一斉メール

クラス内の連絡網が廃止され、学校からの連絡は保護者宛一斉メールとなりました。警報や不審者情報など、緊急の連絡は助かるという声が多く聞かれる反面、存続する連絡網の管理が厳重化しました。

 

  • 登校日の変化

「つめこみ教育」から「ゆとり教育」への転換により、週5日の登校を採用する学校が増えました。ただ授業数が減ると学習すべき範囲が最後まで終わらないということで、3学期制を2学期制としたり、夏休みを減らして8月後半から新学期を開始したりする自治体も出てきました。

 

  • 焼却炉の廃止

かつて学校から出るゴミは学校内にある焼却炉で燃やしていましたが、ダイオキシン問題などにより、1997年文部科学省より廃止の通達が出されました。業者によるゴミ回収は有料のため、給食の牛乳パックをリサイクルしたり、落ち葉を堆肥にしたり、学校単位でゴミを減らす取り組みが実施されています。

 

  • 制服や体操服のジェンダーレス化

女子生徒でも、制服のボトムをスカートかスラックスか選べる学校が増え始めました。また昔の女子生徒の体操着で主流だったブルマは減り、男女兼用のハーフパンツが一般的になりつつあります。それに伴い、以前、女子生徒はスカートの下にブルマをはいて下着が見えるのを防止していましたが、最近は多くの女子生徒が「見せパン」を着用しています。

 

  • 運動会は春開催、ダンスはソーラン節が人気

熱中症回避、受験対策、イベントの分散など、さまざまな理由から、運動会を秋から春開催にする学校が増えました。またダンスでは、北海道生まれのソーラン節が全国的に人気です。これは1999年放送されたドラマ「3年B組金八先生」の影響で、「ソーラン節によって学校と生徒が一致団結した」というイメージがついたからだと言われています。

 

  • パン給食の減少

米や麺類など、給食に出される主食のバリエーションが豊富になり、パン給食が減りました。文部科学省から週3回程度の米飯給食が推進されていることも影響しており、食料自給率向上、伝統食の維持などの面で歓迎されています。

  • 安心で快適な校舎へ

こどもに安全で快適な環境を提供することは、学校の使命です。全国の学校で耐震化工事が進められ、2007年度の達成率は6割強でしたが、現在はほぼ全国の小学校で耐震化工事が完了しています。そのほかエアコンなどの空調設置、トイレの洋式化も急速に進められています。

 

  • 引き渡し訓練の開始

暴風警報、地震、重大犯罪発生時などに備えて、引き渡し訓練を行う学校が増えました。これは学校から、直接保護者に、こどもを引き渡す訓練のことです。給食を終えて帰り支度ができた頃に、保護者はメール配信を受けて学校へこどもを迎えに行き、担任の先生は一人ずつ名前を確認してから、保護者にこどもを引き渡します。

 

  • 卒業式で袴姿の女子生徒が増加

2016年頃から、卒業式に袴を着用する女子生徒が増えました。競技かるたを題材とした漫画「ちはやふる」の人気およびその実写映画化が、ひとつの要因だと言われています。6年生女子の半数が「着たい」という声がある一方で、「小学生には贅沢ではないか?」「袴の着崩れによって、卒業式に集中できないのでは?」という懸念もあります。

 


親子で「今と昔の学校の違い」について話しましょう


 

「今と昔の学校の違い」は、親子で楽しめる話題のひとつです。そしてこれは単に楽しめるだけではなく、「なぜ、このような変化が生まれたのか?」というところまで掘り下げれば、社会の流れを理解するきっかけにもなります。それは、こどもの「生きる力」にもつながるはずです。是非、親子で学校の移り変わりについて話し合ってみましょう。